2010年07月16日

野球ではない

 鴻巣タイガースBチームの夏が終わりました。残念ながら夏季B大会の一回戦突破はなりませんでしたが、子供たちはきちんとゲームメイクができていましたので、これまでの練習の成果が十分に発揮された満足できる試合内容だったと思います。これまで行った練習試合と比べても最高の試合内容でしたから、全員が練習を重ねる度に、試合を重ねる度に成長した結果が集約された試合になった事はすばらしい事だと思います。4年生のうち4人がAチームに行かざるを得ない状況で、残った4年生以下で構成するBチームでこれだけの試合ができた事は子供たちにとって非常に大きな財産になったと確信しています。

 特に3年生エースのR君は投打ともに大車輪の働きで、子供の成長の早さを実感させられました。昨年のB大会、2年生だった彼は試合の終盤に代打で登場し、四球で出塁したのですが、出塁後はとにかくひたすら次の塁に向かって走る、走る・・・サインとか状況とかそんなものは一切関係なく、自らの本能に従ってひたすら走るのみでした。つまり、その時彼がやっていたのは「野球」ではなかったという事です。まあ小学2年生としては普通のことだと思います。しかしその一年後、彼は見事に「野球」を自分のものにして、「野球」を楽しんでいました。そして試合後は泣いていました。それは紛れもなく「野球」をやった証に他なりません。

 話は変わりますが、サッカー日本代表がワールドカップ決勝トーナメントでパラグアイにPK戦で負けた後、朝日新聞スポーツ欄のコラムでオシム氏がこう言っていました。「PK戦はサッカーではない。」だから、日本代表を責めるべきではないし、外した選手を責めるべきでもない・・・と。PK戦は確かにサッカーではなく、勝敗を決するための擬似サッカー的な手法です。少年野球には同点の際に勝敗を決する手段として、無死満塁の状況から点を取り合う「サドンデス」と呼ばれる特別延長ルールがあります。少年野球に限らず軟式野球では、設定する状況や呼称は様々ですが似たようなルールが採用されている地域、団体が多数あります。オシム氏がPK戦をサッカーではないと言ったように、私はこれは野球ではないと思っています。野球の勝敗は野球で決着させるのが筋であり、少年野球でこういう「野球ではないが野球に良く似た方法」で勝敗を決する方式を採用している事に対して少なからず疑問を持っています。

 限られた時間の中で、次のステージに進むチームを決めなければならないという事情は重々承知しています。しかし、その手段として「サドンデス」と呼ばれる擬似野球的な手法がベストかどうかという議論が本当に真剣になされた上で実施されているとは私には思えません。野球で決着が付かないのなら、野球とは無縁の方法で次ステージに進むチームを決めてもいいのではないでしょうか。勝敗を決めるのではありません。次ステージ(2回戦とか3回戦とか)に進むチームを決めるのです。野球の試合ですから勝敗は野球でしか決められないと私は思っています。それで決着がつかないなら、勝敗は引き分け、次のステージに進むチームを野球とは無縁の方法で決める、というのも一つの方法です。ジャンケンでもクジ引きでも何でもいいです。とにかく野球とは無縁のもので決めるという考え方も必要だと思っています。

 規定回数あるいは規定時間を終えて同点の場合は、普通の延長を1イニング行い、それでも同点の場合は試合は引き分け、抽選等で次ステージ進出チームを決めるというのが、時間との折衷案の中での私の理想です。人それぞれ様々な考え方があると思います。今実施されている方式が、どれだけの議論がなされて採用されているのか、時代や環境変化で人の価値感や考え方も変わっている中で、そういうものに適宜追随しているのか、大会運営に携わっている人たちがそういう事を本当に真剣に考えた事があるのかどうか、私は非常に興味があります。「上部組織の規則で決まっているのだから我々は従うしかないんだ。」という声が聞こえてきそうですが論外です。

 本筋から離れますが、少年野球の「サドンデス」という呼称は実に奇妙です。表裏きっちりやるわけで、点が入った瞬間にゲームセットになるわけでもないのにサドンデスという呼称は非常に違和感があります。何年か前の市内の大会で、本部前のトーナメント表ボードに「サドンレス」と書かれているのを見た時は違和感どころではありませんでしたが・・・。。
posted by kudakeishi at 00:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 野球雑感