2010年06月01日

デスクトップミュージックのような野球

何かで趣味について書く欄があると、最近は「ビデオ編集」と書くようになりました。他にも「野球」とか「観察」とか「作文」などという趣味があり、以前はそういうものを挙げていましたが、近頃はもっぱらビデオ編集を趣味として挙げるようになりました。

 私がビデオ編集を始めたのは、この春大学生になった長女がまだ小学4年生でソフトボールをやっていた頃ですから、まだほんの10年足らずでしかありません。もともとコンピュータを使って何かやる事に興味があり、ビデオ編集を始める前はDTM(デスクトップミュージック)というものを趣味にしていました。パソコンに演奏データを入力して、マルチティンバー音源という同時に何種類もの楽器の音を出せる装置(まあシンセサイザーだと思って下さい)に自動演奏させるというもので、実は皆さんが今楽しんでいるカラオケはこれそのものです。あれは人間が演奏しているわけではなく、人間の入力したデータを基にコンピュータがサンプリング方式の音源装置に自動演奏させているわけで、私が趣味でやっていたのはそのハシリのようなものです。

 コンピュータというやつは実にオバカで判断する力はありませんから、いわゆる「楽譜」では演奏する事ができません。楽譜というのは非常に曖昧なもので、音の大きさ、長さ、発音タイミングなどが絶対的な尺度で記載されたものではありません。例えば四分音符でド、ミ、ソとあった時、最初のドの音を鳴らしてから次のミの音を鳴らすまでの間のどこまでドを鳴らし続けるのかは楽譜には書いてありません。50%なのか70%なのか90%なのか、それとも100%で音が連続するのか・・・。人間が演奏するときは演奏者が自分の解釈で決めている事です。あるいは3番目のソの音を鳴らすタイミングは・・・四分音符だからリズムは決まってるじゃないかと思われるかもしれませんが、すべての音をドンピシャのタイミングで鳴らしたら、まさに機械が演奏したようなものになってしまいます。これも人間が演奏するときは少しツッコミ気味のタイミングだったりモタリ気味だったりして、それが演奏者の特徴だったり味だったりするわけです。DTMの場合は、それらをすべて数値化してコンピュータに入力してやって、思考能力のないコンピュータでもそいういう演奏ができるように人間が演出してあげるわけです。

 少年野球を何年か見ていて思うのは、楽譜で試合が作れるチーム、つまり自分たちで試合の流れを見ながら状況に合わせて最適な判断をしてゲームメイクができるチームと、DTMのようなデータ入力をしてやらないと試合が作れないチーム、つまり指導者が具体的な部分を導いてやらないと強いチームとしての試合ができないチームがあるという事です。試合で対戦する非常に強いチームにもこの二種類がありますが、小学生離れした高い身体能力・運動能力に加えて強力なリーダーシップのある選手がいなのに強いチームは、多かれ少なかれ後者、つまりDTMの要素を持っているように感じますし、圧倒的にそちらのタイプのチームの方が多いと思います。言い換えれば、楽譜で試合が作れるチームには必ずといっていいほど強力なリーダーシップを持った「大人」が選手の中にいるという事です。

 私は秘かにDTM野球と楽譜野球と呼んでいますが、残念ながら現在の鴻巣タイガースも高学年のチームでさえ楽譜野球ができているとは思えません。低学年のBチームの試合で指揮を執るとき私はすべてにおいて「確認しろ」と口うるさく言います。ボールカウント、アウトカウント、ランナー、点差・・・これらはすべての場面で全員が把握しておかなければならない事ですし、まずは把握しておかなければならないという意識を持つことが必要です。そもそも「確認」というのは考えるための準備段階です。小学校4年生以下の子に楽譜野球を求めようとは思いませんが、準備段階の確認をする習慣だけは付けさせたいと思っています。高学年になってそれが楽譜野球に、しかも選手の中に「大人」がいなくてもできる楽譜野球に発展してくれれば言うことはありません。
posted by kudakeishi at 22:16| Comment(0) | TrackBack(0) | 野球雑感